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		解説 
A1. Mars, afterwards… 
この曲は、Marsの続編であると同時に、このアルバムが前作の続編であることを宣言している。本来は、英語とフランス語の2つのバージョンを想定していたが、半谷氏は1曲として制作。 
A2. Le Voleur 
この曲は、小説家ジャン·ジュネをイメージし制作したもの。トランペットは、当時交流のあった即興演奏の仲間に依頼した。幸いにも彼は録音に長けており、自らが2本のマイクを使って独自な奏法を披露した。また彼は、役者としてテレビに出演することもあった。 
A3. Objet d’Amour 
この曲は、画家フランシス·ピカビアの描いた機械の絵とシャンソンを組み合わせたもの。ここに採用したのは、本来アルバムに連なっていたオリジナル·バージョンではなく、より華やかなリミックス·バージョン。 
A4. Untitled 
この曲は、半谷氏が独自に制作していたものを採用。神秘的、かつ瞑想的、この時期(1980年代)の半谷氏独自の世界観が実によく表現されている。 
A5. The Castle I 
この曲は、アンドレ·ピエール·ド·マンディアルグの小説「城の中の英国人」から着想を得たもの。当初、自身の思い込みより、仕上がりにスケール感の欠如を感じ、再度、半谷氏にミックスを依頼した。 
 
 
B1. Machine d’Amour 
この曲は、アルフレット·ジャリの小説「超男性」をモデルに制作したもの。本来、通常のラスト·フェードアウトを想定していたが、末部のトランペットとギターが良く、半谷氏はフルスケールの曲とした。レコード版では末部がカットされるが、デジタル版ではフルスケールとなる。 
B2. The Steeple of Lewdness 
この曲は、ジョルジュ·バタイユの小説「淫らの塔」を独自に展開したもの。音楽は、当初、半谷氏が「鉄の夢」題して私的に制作していたものを発展させた。 
B3. The Sea 
この曲は、画家ハンス·ベルメールの描く裸体が、波間を漂う姿をイメージし曲にしたもの。ある小説の「海岸は、生と死の境界線~」という一説が、長く私の脳裏を離れない。 
 
Photo : Remi Ozaki 
C1. The April (Prologue) 
C2. The April   
この曲は、半谷氏に試験的にミックスを託した頃のもの。結果として、半谷氏自身が創作した演奏にあってこそ、彼の独自の世界観が表出することを理解した。以降、私は声のみとなった。 
C3. Ray 
久しく私の大好きなアーチー·シェップのアルバム、そのタイトル曲 BLASEを聴いた時、この曲が如何に私の深い記憶、無意識下にあったかが分かった。ミックス時に、半谷氏が加えたフィードバック奏法のギター効果が素晴らしい。 
   
D1. Boy A. 
この曲は、ヒトラーユーゲントをイメージし制作したもの。美に対する崇拝や忠誠には矛盾があり、陶酔と嫌悪が複雑に入り混じる。一心に破滅へと突き進む少年A。 
D2. The Wine of Heaven 
この曲は、半谷氏との最初期のコラボレーション曲であり、私にとっては最高傑作。この曲が、私に全ての演奏を捨てさせた。 
D3. The Castle II 
このミックスにより、私は初めてオリジナル·バージョンが如何に素晴らしかを気付いた。と同時に、これは二人の新しい戦いの歴史の始まりでもあった。 
 
 
上記の説明文でも語り尽くせないほど多くのことが各曲、そしてアルバム全体にある。一見音楽とは関係のない事象も、私は制作過程の全てがアルバムと一体の価値を持っていると考える。 
別ページ History 1987年で私が語るロンドンでの出来事は、このアルバムとは切っても切り離せない重要な意味を持つものと考えている。 
 
 
この頃の私は、音楽と文学の一体化を目指して居り、また更には初期よりビジュアルと音楽の一体的な価値を追求し続けて来た。 
その点で、本作は幸運だった。Mecanica Recordsは、そのことに対して寛容であり、協力的であったからだ。その為、私自身がアルバムのデザインを主導し、最後には、念願のエンボス加工の実現に至った。 
このアルバム CastleⅡ は、ミュージシャン自身が音楽とビジュアル、グラフィック等の全てをディレクションし(Mecanica Recordsにより)制作された、自身の純粋なアート作品と捉えている。 
 
Photo : Th 
ライブを行わない私にとって、総合アートとしてレコードを形成する行為は、自身の最も重要な創作活動に考えている。いつの日か、ギャラリーでジャケットのビジュアルの展覧会と合わせてリリースを行うことが、私の理想である。 
後に、装丁家と共にこのアルバム用の特別仕様のボックスを制作してみたい。 
Tomo Akikawabaya  
 
 
阿木譲氏の雑誌EGO 1986年 
 
1987年、ロンドンから戻って私が決心したことは、今後のためより強力な曲を揃えなくてはならいということだった。 
ここで全てを言ってしまえば、私たち二人は2000年に分裂したことだ。しかしながら、CastleⅡ 以降に私たちは2枚の未完のアルバムを制作している。完成した曲を合わせれば、2枚組のレコードには十分になる曲数があり、もしそれがリリースされれば、そのアルバムは間違いなく私たち二人の最高傑作となるだろう。 
分裂以降、私は演奏を再開し、それまでに行ってこなかったスタジオワークも独学で学んだ。バンド名義は、新しくThe Future Eveと名乗り、2019年になって漸く1枚のアルバムを(日本のFLAUレーベルよりリリース)発表した。 
それはロバート・ワイアットとのコラボレーション・アルバム KiTsuNeであり、それが半谷氏との最後の作品となった。2枚組のアルバムの1枚目が半谷氏のバージョン集。そして2枚目が私(Th名義)のバージョン集となっている。 
さらにその後は、自身独自の音楽の形成に集中すると共に、音楽パートナーを海外にも広げていった。 
Tomo Akikawabaya   
 
 
上EGOに連載された小説 
 
	 
	
 
	
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